バルタン星人はなぜ美しいか
小林晋一郎著:『バルタン星人はなぜ美しいか 形態学的怪獣論<ウルトラ>編』
その造形物がなぜ美しいかを語ることは容易なことではない。デザイナーは手を動かすことによって造りだす行為に理由はない。ただ美しくあるために手を動かすだけである。されど、美しいものには理由がある。
美しいものを造りだすのが右脳であるなら、その理由を導き出すのは左脳だ。右脳で感じた「美しさ」を左脳で言葉に繙く作業は創造主であるデザイナーでも難しいのではないだろうか。
この本が扱っている造形物はバルタン星人を始めとする「怪獣」である。幼い頃本気でTVのストーリーにのめり込めたのはこれら架空の造形物があたかも実在するかのごとく迫ってきたからである。これらの「怪獣」の形がなぜ忘れられないモノなのか、美しい理由は何かと言うことを曲線、単純化、パターン等といった幾何学的分析を用いながら見事に解説されている。
ウルトラ怪獣を知らない人にとっては何のことだかわからないかもしれないが怪獣大百科を見て育った世代にとっては納得させられるデザイン論だと思う。
この分析方法は対象が怪獣以外でも応用できそうだ。
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コメント
興味深い良書です。これをきっかけに、自分なりの語り口を確立するファンもいるでしょう。チブル星人は古典SFの火星人のアレンジとも云えるし、キングザウルス3世は角竜とエダフォサウルスを思わす角と帆が太古の深みを感じさせます。バキシムの背中の大突起と低めの四角錐はピラミッドのようで、霊峰富士に現れると、神秘性があります。
投稿: 渡辺恒太 | 2005.05.12 14:45
渡辺恒太さん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
怪獣のデザイン手法にしても様々なモチーフ、オマージュ、いろいろありますが、美しいと感じるものは理由があることを知らされます。またそういうデザインをされたものは永年にわたり人気がります。
ネクサスはコケているようで1年もたなかったみたいですが、マックスはどうなるのでしょうか。この本に登場しているような人気怪獣の復活予定が話題ですが、懐かしさだけで満足させようという企みでないことを祈ります。
投稿: ちはる | 2005.05.12 20:22