室温は輻射で考える
雑誌「チルチンびと 2007年 03月号」の『特集は火を囲む暮らし』
【室内の表面温度によって異る体感温度】断熱や空調設備の話しで出てくるのは熱の伝わり方。「伝導」「対流」「輻射(放射)」の3つですが、建築の参考資料の場合「伝導」の内容がほとんど。しかし室内の温熱環境を考えると「輻射」を重要視しないと意味がない。特に暖房の場合、室内の気温よりも暖房器具や壁面躯体の温度から直接受ける温度の方が身体に影響します。
体感温度≒(表面温度+室温)/2
しかし、引用した 体感温度≒(表面温度+室温)/2の式を用いている資料もなかなか見たことありません。(以前見たのは「建築知識」2002年12月号 )この算式がどのくらい信用できるのかよくわかりませんが、部屋の室温だけでなく表面温度からの輻射を考慮するようにしているというのは評価できます。室温が高くても冷えきったRC壁で囲まれた部屋は、氷柱を抱いているようなもの。体温からどんどん熱が奪われていくこと、毎日実感していますから。
けれども空気調和という学問ものは室温を何℃保つかということが主流です。どうすれば快適に過ごせるかという話しは、輻射熱はもちろん人間のセンサーのしくみについても研究する必要がある筈ですが、建築の資料ではあまり見かけません。
そのほか今回の特集では火を使った暖房について。
囲炉裏の団欒なんかよさそうですが、近年の高気密住宅では炭火はとても怖いので換気には十分気をつけてください。
暖炉の特集・・・・記述を見ることができなかったんですが、暖炉を設けると建築基準法上内装制限がかかりますよね。事例の写真では最上階に設けられているようでしたが、板張の壁や天井なんてできるの?
ストーブは可動式の設備なので使用者の責任として建築基準法上内装制限は関係ないようです。しかし造り付けの暖炉は火気使用室に該当しますよね。台所のコンロよりも大きな火なんだし。
疑問に思って検索しましたが・・・・「確認申請に暖炉を書かないほうがいい」なんて記述がチラホラ・・・・そんなことホームページで公表しないでください。そんなことだから建築士の地位が下っていくのです。たとえ本当でも
次々探していくと「蓋付の暖炉なら内装制限を受けない」というような記述を見かけたりしました。可能性はあるのかな?何にしても地域の行政に確認することが必要です。
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コメント
ちはるさんと私の興味は、ことごとくニアミスというかシンクロしているなあ、と思う今日この頃です。
困るんですよね、火気使用室問題。
そもそも、室の概念がいいかげんなところへもってきて、たれ壁でOKみたいなイイカゲンなことにルールが決められているので、さらに扱いが微妙です。
さらにコンロがIHだったりすると裸火が出ないので、火気使用にあたらなかったりするので、どんどんいいかげんなことになっていますね。
あえて無理やりなことを言えば、暖炉の廻りだけ天井付近に垂れ壁を設ければいいのか?というようにも思われますが、それって火災に対して、有効なのか?という気分になり、有効でないなら無くても同じじゃんて気分になり、結局、実際のところどうなの?という話になるわけです。気分だけで法規制をクリアできるワケでもないしね。
しかし、暖炉廻り、ワリとイイカゲンに内装している作例って多いですよね、どうやって法規制をクリアしているんだろう?
分かったら私にも教えて下さい。もちろんこちらでつかめばお知らせします。
ではでは。
投稿: あさみ編集長 | 2007.02.14 12:03
あさみ編集長>こうやってコメントをいただけると思考を次のステップに進めることができるので助かります。
火気使用室・・・・垂れ壁が有効なのは煙だから内装制限は関係あるのか?などと思いつつ「だったら全部内装制限かけるか?」と言われると「スミマセン」と垂れ壁に応じてしまったり・・・・あ、でも基本的に内装制限をかける方を選択していますワ。不要な垂れ壁を設けるよりは。
ストーブは問題なく、暖炉はダメというのがよくわからないのですが、煙草を吸う部屋なんかも火気使用室だと思うのです。
いや、全部規制しろというのではなく、こんなに規制する必要はあるのか。緩和してもいいのではないかと思います。火災報知器も義務づけられましたし。
その場その場で規制をして、気がつけば(気がついていないのかもしれませんが)全体がぐちゃぐちゃになっている気がします。>建築基準法
投稿: ちはる | 2007.02.15 08:44
>(気がついていないのかもしれませんが)
に(爆)
気がついていてもどうにもできないぐらいに複雑になっちゃっていることは確かですね。
ストーブ/暖炉問題については裸の火が室内に出ているかどうかがポイントになるみたいですね。「たぶん」だけど・・・。だからIHは問題なし、ストープも問題なしという判断になるのでは?だから、ちはるさんの言うようにタバコは問題あり、なワケだな(笑
可動かどうかを議論し始めると難しいですよ。北海道の戸建住宅内のストープって、たいがい煙突付きです。煙突は建物の壁を貫通してますからほぼ固定物。これはどないやねんって話になりそうです。やっぱり蓋があるかないかが重要なのでは?
ところで、暖炉って蓋があっても暖炉なのかな?それはストープ?
ちょっとまて、ストーブと暖炉の違いってナンダ?
うひゃあ、まとまらないだす。
投稿: あさみ編集長 | 2007.02.15 17:16
私は兵庫県で育ちましたが、小学校の木造校舎では煙突のついたストーブを使ってました。でもオフシーズンはしまってあったので可動式ですね。
でも内装制限と可動かどうかは関係ないですね。キッチンのビルトインコンロはダメで、置き式のコンロならOKなんて話は聞いたことないですから。
ひょっとしてカセットコンロもダメで・・・・あんまりこんなこと言ってると「鍋はしません」なんて確認申請時に一筆書かされたりして(笑)
ストーブと暖炉の違いはWikipediaによると「暖炉には燃焼室の後方と下方に耐火煉瓦を敷いている」そうです。
記事で紹介した「チルチンびと」を眺めていると、建物と一体になったものが「暖炉」で、置くような設備は「ストーブ」、さらに蓋なしのストーブは「暖炉式ストーブ」と呼ばれていました。
投稿: ちはる | 2007.02.15 22:20
うー。Wikipediaさん。その定義でいくと
http://www.metos.co.jp/kamin/ordermade/gyrofocus.html
これは暖炉じゃないってことかなあ?
投稿: あさみ編集長 | 2007.02.15 23:53
↑暖炉式ストーブ、略して「暖炉」?
投稿: ちはる | 2007.02.16 07:11
確かに、冷え切ったRC壁からの冷気が身にしみるときがありますよね。
体感温度を表面温度との関係で表わす式があるのですね。先日私も、冷たいRC壁に絡めてトロンブ壁の記事を書いたところなのですが、数値を使って蓄熱壁の優位性を説明しているような資料を見つけることはできませんでした。
投稿: おず | 2007.03.11 00:34
おずさん>
冬場、日中の太陽熱だけで蓄熱できるのかと疑問はあるのですが、
冷暖房や断熱に輻射熱を考慮した製品が増えつつあります。
製品が増えることによって、研究成果も一般に広まるのではないかと
思っております。
製品の特集はまたいずれ取りあげたいです。
投稿: ちはる | 2007.03.11 09:33