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2007.05.03

「日本語検定」「関西弁講義」

タコ検定」も第3回の実施が決まったようですが、「日本語検定」というものも実施されるそうです。

神戸新聞2007年4月30日の記事によると「これまで間口が広すぎて(検定をすることが)難しかったが、現代日本語の運用能力を六つの領域(敬語・語彙・言葉の意味・漢字・表記・文法)に分けることによって、総合的な判断が可能となった」「一つ一つ検証していくと、実は思わぬ勘違いがあるなど、正しくこなせていない事実が判明する。」「いろいろな角度から能力を分析することによって各自の欠点を見つけ、その部分を学習で補ってもらい、結果として身に付くバランスのとれた美しい日本語を次代に受け継いでほしい」という目的だそうです。

「日本語が乱れている」「間違った用法なのに定着してしまうことがある」という次世代への懸念です。

私もこうやって書いていると日本語の表現が正しいのか不安になることがよくあります。そういう時は適当に勢いだけで書くことにしていますが、正しい日本語を使用することができるのならそれに越したことはありません。


ところで先日から『関西弁講義』という本を読んでいるのですが、この第六講「関西弁の歴史」という章で気になることが書かれています。

7 江戸時代 −逆転した力関係 (略)現在のお国訛りはこの時代に確立したのである。たとえば、同じ青森県でも弘前の人と八戸の人では言葉がかなり違う。(略) 幕藩体制は領民を固定し、外部との交渉を遮断した。また他藩の間者(スパイ)を見破るため、その藩独特の言葉遣いを培養したのかもしれない。 この時期は江戸幕府の威光を背にし、東国の言葉が中央後になりつつあった時期である。特に江戸時代後期になると奈良時代からつづいた東西の力関係は完全に逆転した。(略)  この東が中心となる流れは、薩摩、土佐、長州らの西国を中心とする討幕派が勝利しても変わることはなかった。これらの藩の有力者が集まって明治維新がはじまる。それぞれのお国訛りを持ち続けながら、意思疎通のために一種のピジン言語が江戸で使われはじめたのではなかろうか。ピジンというのは植民地などで先住民との交易に使われた混成語のことをさす。つまり母語が異る人間が集まってきた時、一種の簡便化された人造言語ができるのである。生粋の鹿児島弁話者と会津弁話者が誤解を生じないようにお互いに複雑な表現形式を用いず、単純明解な言葉遣いをしていたことはじゅうぶんにありうる。
8 明治以降 −標準語の制定  明治維新を経て日本が近代統一国家の体裁を整えるにつれ、言語の統一ということが政府の中心課題のひとつになった。全国統一の「標準語」を制定し、学校教育で「標準語」という「国語」を教える。国民が言語を共有することで、それまでの藩割拠的な「くに」の意識を打破し、日本という国家意識をもたせることが可能になる。さらに学校体育、運動会、遠足などを通じて集団行動を国民に教え込む。その先には、富国強兵をめざす近代国家の軍隊をつくりあげることがあった。兵士の間で言葉が通じなければ作戦に支障をきたす。全国組織であった軍隊には、共通の言語が必要であった。  大日本帝国のそのつぎの段階になると「標準語」は日本国民だけのものではなくなる。富国強兵を果たし、海外に植民地を持つことでそこの住民に日本語を教育しなければならなくなった。教える日本語は「標準語」でなければならなかったのだ。(略)

 いったん標準語が制定されると、地方の方言は恥ずかしいもの、間違ったものとしての地位に追いやられる。(略)

 これを読むと今の正しい日本語というものは、たかだか100年程前に定められたものということです。ちなみに前述の「日本語検定」は 2009年に創業100年を迎える東京書籍の提唱により日本語検定委員会が実施する とあります。「創業100年」というと古いように聞こえますが、実は明治以降です。そして「標準語」もその程度の歴史です。

 ご当地検定が流行っていますが、これは地方の文化の再発見という意味で大きな役割を担っていると思います。でも「日本語検定」ってどこか気持悪さを感じるのです。
(日本語検定の対象は)あくまで現代日本語の運用能力を問うもので、古語や純粋の漢文は対象外です」ということなので新しい標準語を基準にするのでしょう。本当にそれが正しい日本語なのですか?ぃゃ、正しいと決めたから正しいのでしょうけど。

 中央で決めたこと、標準としたことが正しく、地方の姿が恥ずかしいという意識に染まっているような状況は街並みや風景にもよく見られます。
 最低基準は全国揃える必要あるかもしれませんが、全国同じ姿にする必要はないはずなのですが。
「日本語検定が必要」と感じるウラにはそういう意識が働いているのかもしれません。

さて、この『関西弁講義』という本は北海道大学の山下好孝准教授が実際に大学の講義に使った内容をまとめたものだそうです。
関西弁をひとつの言語としてとらえ、その特徴を詳しく解説されています。普段使っている関西弁ですが、声に出してイントネーションを確認していくと気づくことがたくさんあります。
この本とても面白いのですが、例として挙げられている内容が執筆当時(2004年発行)の流行が多く書かれているのが残念。「関西弁を話す宇宙人のCM」なんて10年後の学生はわからないだろうな。


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